人気iPhoneを「一括1円」といった破格の値段で買えるキャンペーンを、家電量販店などのキャリアショップで目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
お得そうにも見えますが、「難しい条件があるんでしょ?」「何か裏がありそうで怪しい」と心配になってしまいますよね。
そこで、本記事では本当にiPhoneの一括1円や0円のキャンペーンが行われているのか、そしてどのようなものなのか、その実態を解説します。
iPhoneを安く買えるキャンペーンが気になっている方はぜひ参考にしてくださいね。
※本記事の価格は全て税込みです。
iPhone一括1円・0円キャンペーンは実施している?
iPhoneの一括1円・0円キャンペーンは、一部の携帯ショップが行っている店舗独自のキャンペーンです。
キャリアの公式オンラインショップや直営店舗では行われていません。
街中や家電量販店の中にあるキャリアの代理店や、ショッピングモールなどで開催される出張販売にて行われます。
ただし最近は、iPhoneが一括1円・0円で購入できるようなキャンペーンはほとんど実施されていません。
現在は一括9,800円や実質24円といったキャンペーンが多く、以前より割引額が減少しています。

iPhone一括1円・0円キャンペーンの実施情報
現在、iPhoneの一括1円・0円キャンペーンを目にする機会は少なくなっています。
しかし、2021年末ごろ~2022年3月ごろは、まだiPhoneの一括1円キャンペーンが多く行われていました。
ヨドバシ梅田、iPhone SE3 一括1円、やってますね!
でも128GBならiPhone12の方がお安い。
ベンチマークはSE3の方が上だけど、長く使うならやはり12の方がいいかなー? pic.twitter.com/ZVjhH3cDc4
— MASAryu / マサリュウ (@MASAryu_info) March 24, 2022
このころのキャンペーンは、他社からの乗り換えと特定プランへの加入が条件でした。
キャンペーンの対象機種は、iPhone 12やiPhone SE(第3世代)の64GBモデルが中心です。

また、iPhone 13 miniもキャンペーンの対象となることがありました。
福岡天神でもiPhone 12一括1円やっとりますね。 pic.twitter.com/hgGAqoExFk
— ACTIVATE/スマホ・ガジェット (@citywadakatsu) March 6, 2022
この時でもiPhone 13 miniが一括1円になるケースは少なく、実質1円や23円で販売されることが多かったです。
iPhone一括1円・0円キャンペーンが無くなった理由
現在、iPhoneの一括1円・0円のキャンペーンはかなり少なくなっています。
その理由は以下の3つだと考えられます。
- 総務省は大幅な端末値引きを無くしたいから
- 転売目的での購入が相次いだから
- 独占禁止法に抵触する可能性があるから
いずれも行政機関が絡む話なので難しく感じるかもしれませんが、できるだけ分かりやすく解説していきます。
理由①総務省は大幅な端末値引きを無くしたいから
携帯キャリアをはじめとする通信事業は総務省の管轄です。
携帯キャリアに関して何か問題があった場合、基本的には総務省が対処することになっています。
その総務省は、以前からキャリアの極端な端末値引きを問題視していました。

そこで、2019年に改正電気通信事業法を施行。
携帯電話回線の契約を条件とした端末代金の割引額が税抜き2万円までに制限されました。
しかし、一括1円キャンペーンはなくならなかったのです。
2021年ごろからは、回線契約による値引きは2万円までとしつつ、端末代金自体を大幅に引き下げることで、結果的に1円という価格を実現していました。
もちろん総務省としては、このようなやり方を黙って見過ごすわけにはいきません。
総務省のさらなる提言などにより、現在はiPhoneの一括1円・0円のキャンペーンは減ってきています。
理由②転売目的での購入が相次いだから
iPhoneなどの大幅値引きが活発に行われたことで、転売目的のキャンペーン利用が相次ぎました。
いわゆる「転売ヤー」の出現ですね。
転売ヤー問題が深刻化していることから、大幅値引きは控える動きが加速しています。
転売ヤーが現れた経緯
現在、キャリアで販売しているスマホは回線契約なしでも購入できます。
理由①で取り上げた改正電気通信事業法の改正により、回線と端末のセット販売が禁止されたためです。
これにより、たとえ転売目的の顧客であっても、キャリアは端末のみ購入したい人を受け入れなければいけない状況になりました。
もちろんキャリアも、購入数を制限したりパッケージに記名押印したりといった対策は講じています。
しかし、大幅値引きを続けている限り、この問題が解決することはないでしょう。
理由③独占禁止法に抵触する可能性があるから
ここまで総務省や転売ヤーの問題について見てきましたが、いずれも根本的な解決には至っていません。
なぜなら、今の販売方法が法律に反していないためです。総務省が強い態度に出られない理由もここにあります。
そこで2023年3月、これらの問題に公正取引委員会がメスを入れました。
iPhoneなどの大幅値引きが独占禁止法で禁止される不当廉売にあたる可能性を指摘したのです。
その理由として、キャリアがこのまま回線契約を利用して大幅な値引きを続けた場合、端末販売のみを行っている事業者を競走上不利にしてしまうことを挙げています。

このように、iPhoneなどの一括1円・0円キャンペーンは総務省以外からも問題視されています。
キャリアの大幅値引きは縮小の方向に向かっています。
iPhone一括0円と実質無料の違いは?
iPhoneなどのスマホの大幅値引きキャンペーンには「一括○円」になるケースと、「実質○円」になるケースの2パターンがあります。
これらは似ているように見えますが、購入の方法は全く異なるため、事前に違いをしっかり把握しておきましょう。
- 一括○円:端末を一括払いで購入できる。買った後は、顧客が自由に売却などを行える。
- 実質○円:2年後の返却を前提とした残価設定プログラムを使った購入方法。
「一括○円」キャンペーンでは、代金の支払いは最初の1回だけです。
お金を払った後、端末は完全に自分のものになるため、売却なども自由に行えます。
一方、残価設定プログラムを使った「実質○円」キャンペーンは、勝手がだいぶ違うので気を付けてください。
残価設定プログラムは、端末を2年間の分割払いで購入し、2年後に端末をキャリアに返却すれば、24ヶ月目の支払い(金額は、その時点での端末の価値である「残価」)が免除される仕組みです。
本プログラムを使って端末を返却すれば、ユーザーの実質的な負担額をかなり抑えることができます。
昨今行われているiPhoneのキャンペーンでは、端末代金の割引とこのプログラムを組み合わせることで、ユーザーの実質負担額を1円などの破格の安さに抑えています。

機種や店舗によってどちらの販売方法を取っているかは異なるので、購入前にしっかり確認してくださいね。
iPhoneは0円では購入できない!
iPhoneの一括1円・0円キャンペーンについて解説してきました。
iPhoneの一括1円・0円キャンペーンは、様々な事情により下火になってきています。
今後、キャリアの大幅値引きがどのように実施されるのかは不透明です。
しかし、キャリアでは様々な形でキャンペーンや割引を行っているので、iPhoneの購入時にはキャンペーンをぜひチェックしてみてくださいね。